卵管が通っているのに妊娠しない?
「ピックアップ障害」を医学的に考える

不妊治療を受けている方の中には、
「卵管造影検査では卵管が通っていると言われた」
「排卵もしている」
「精液検査にも大きな問題はない」
それなのに、なかなか妊娠しない。
このような経験をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
妊娠するためには、卵子と精子が出会い、受精し、その後できた胚が子宮へ移動して着床するという、いくつもの過程を順番にクリアする必要があります。
その中で重要な役割を担っているのが卵管です。
今回は、不妊治療の中でも少し専門的なテーマである「ピックアップ障害」について、卵管の働きから医学的に考えてみたいと思います。
卵管は「卵子と精子の通り道」だけではありません

卵管は、子宮と卵巣をつなぐ細い管です。
一般的には「精子と卵子が出会う場所」と説明されることが多いですが、卵管の役割はそれだけではありません。
排卵すると、卵巣から卵子が腹腔内へ放出されます。
ここで重要になるのが、卵管の先端にある卵管采(らんかんさい)です。
卵管采は卵管の先端にある、ひだ状の構造です。
排卵された卵子を卵管内へ取り込み、その後、卵管の中で精子と出会い、受精した胚が子宮へ向かって移動していきます。
つまり、

排卵
 ↓
卵子の取り込み
 ↓
卵管内での受精
 ↓
胚の発育・移動
 ↓
子宮へ
 ↓
着床

という流れが成立する必要があります。
日本産科婦人科学会も、卵巣から排卵した卵子は卵管内で精子と出会い、受精した胚が子宮へ移動して着床するという卵管の役割を説明しています。
「卵管が通っている=卵管が正常」とは限らない


ここが今回、一番お伝えしたいポイントです。
不妊検査では、卵管が通っているかどうかを確認するために子宮卵管造影検査(HSG)などが行われます。
これは非常に重要な検査ですが、
卵管が通っているか

卵管が本来の機能を十分に果たせているか
は、必ずしも同じではありません。
例えば、卵管の周囲に癒着がある場合、卵管そのものが完全に閉塞していなくても、卵巣と卵管采の位置関係が乱れ、排卵された卵子を取り込みにくくなる可能性があります。
ASRM(米国生殖医学会)も、卵管周囲癒着が卵管と卵巣の解剖学的な位置関係に影響し、卵管が正常であっても卵子を取り込む能力を妨げる可能性について説明しています。


ピックアップ障害とは?


「ピックアップ」とは、排卵された卵子を卵管采が取り込むことを指します。
この卵子の取り込みがうまくいかない状態を、一般に**「ピックアップ障害」**と呼ぶことがあります。
ただし、ここには注意が必要です。
現在の医療では、卵管の「卵子を取り込む機能」を日常診療で直接測定できる検査はありません。
そのため、
「卵管造影が正常だったからピックアップ障害ではない」
とも、
「妊娠しないからピックアップ障害だ」
とも簡単には判断できません。
不妊症は、排卵、卵管、子宮、卵子、精子など複数の要因が関係している可能性があります。
だからこそ、ピックアップ障害という言葉だけに原因を求めるのではなく、妊娠成立までのどの段階に問題がある可能性があるのかを総合的に考えることが重要です。


どのような場合に卵管の機能が問題になるのでしょうか?


卵管の状態に影響を与える要因として、

・子宮内膜症
・骨盤内炎症
・クラミジア感染などによる卵管炎
・過去の腹部・骨盤内手術
・卵管周囲癒着
・卵管采癒着
・卵管留水症(卵管水腫)


などがあります。
特に子宮内膜症や骨盤内の炎症によって癒着が生じると、卵管や卵巣周囲の解剖学的位置関係に変化が起こることがあります。
また、卵管留水症のような卵管の病変は、自然妊娠だけでなく体外受精の治療成績にも関係することがあります。
卵管の機能は「運ぶ」ことにもある

卵管の重要な仕事は、卵子を取り込むことだけではありません。
受精後には、できた胚を子宮へ送り届ける必要があります。
卵管内部には線毛上皮が存在し、その線毛運動や卵管の筋肉の働きなどが、卵子や胚の移動に関わっています。
さらに、卵管は単なる「管」ではなく、受精や初期胚発育を支える環境としても重要です。
つまり卵管は、

卵子を取り込む → 精子と卵子が出会う → 受精 → 初期胚が発育する → 胚を子宮へ運ぶ

という、一連の生殖過程に関わっています。
そのため、「卵管が通っているか」だけでは、妊娠成立における卵管の役割をすべて評価することはできません。


では、体外受精ではどうなるのでしょうか?


体外受精(IVF)は、この卵管を介する過程の一部を体外で行う治療です。
卵巣から卵子を採取し、体外で精子と受精させ、その後培養した胚を子宮内へ移植します。
つまり、自然妊娠では必要となる
卵子を卵管が取り込む
卵管内で卵子と精子が出会う
という過程を経ずに、受精・胚培養を進めることができます。
そのため、卵管因子が不妊の原因となっている場合には、体外受精が治療選択肢の一つになります。
日本産科婦人科学会も、卵管に異常がある場合には、状態に応じた手術や、卵管での受精を必要としない体外受精・顕微授精が治療選択肢になると説明しています。


妊活鍼灸では「ピックアップ障害」を治療できるの?

ここは、めばえ堂妊活はり灸治療院としても、明確にお伝えしておきたいところです。
鍼灸によってピックアップ障害そのものを治療できる、あるいは卵管采の機能を改善できると断定することはできません。
また、卵管閉塞や卵管留水症など、器質的な問題がある場合には、まず婦人科で適切な検査・治療を受けることが大切です。
そのうえで妊活鍼灸では、

・全身の血流・循環
・骨盤周囲の筋緊張
・自律神経のバランス
・睡眠
・ストレス
・冷え

など、妊活を支える身体のコンディションを整えることを大切にしています。
不妊治療そのものを鍼灸で置き換えるのではなく、医療機関での治療と並行しながら、身体の状態を整えていく。
これが、めばえ堂妊活はり灸治療院が考える妊活鍼灸の役割です。


「卵管が通っているのに妊娠しない」と悩んでいる方へ


妊娠は、

排卵 → 卵子の取り込み → 受精 → 胚発育 → 子宮への移動 → 着床

という複数のステップが成立して初めて起こります。
そのため、検査で「大きな異常がない」と言われても、妊娠に至らないことがあります。
大切なのは、一つの原因だけに当てはめるのではなく、女性側・男性側の両方を含めて、妊娠成立までの過程を総合的に考えることです。実際、不妊症の評価では女性の排卵や卵管だけでなく、男性側の精液検査なども並行して行うことが推奨されています。
もし現在、不妊治療を受けながら「自分にできることは何だろう」と感じているのであれば、治療を受ける身体そのものを整えるという視点も大切にしてみてください。
めばえ堂妊活はり灸治療院では、妊活中の女性の身体を丁寧に確認し、自律神経や血流、冷え、睡眠などを含めた全身の状態から妊活をサポートしています。
婦人科での不妊治療と鍼灸、それぞれの役割を大切にしながら、一人ひとりに合わせた身体づくりをお手伝いします。


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